[ 読書感想 ] 村田沙耶香 芥川賞受賞『コンビニ人間』 普通って何?一種の青春小説として読める。

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日本の現代文学の動向を知ろうとして、読んだ斎藤 美奈子著『日本の同時代小説』の中で、この『コンビニ人間』が紹介されていた。

また、新聞の文芸評論家が書いた記事で、この村田沙耶香 『コンビニ人間』を世界現代文学と同時代を行く書として紹介されていた。

そういう訳で、興味を持ち、読んでみた。
結果、とても面白く読めた。

コンビニ人間 (文春文庫)

内容紹介

「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作

36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。

「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。

ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。

累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。

解説・中村文則

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村田/沙耶香

1979年千葉県生まれ。小説家。
玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。
2003年、「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作受賞。
09年、『ギンイロノウタ』で第31回野間文芸新人賞受賞。
13年、『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞受賞。
16年、「コンビニ人間」で第155回芥川賞受賞
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

<登場人物>

古倉恵子
この物語の主人公。18年間コンビニ店員としてアルバイトで働く。
店長 8人目の店長。30歳の男性。
バイトリーダーの泉さん
37歳の主婦。キビキビよく働く。
アルバイトの菅原さん
古倉恵子の妹
ミホ 古倉恵子の友達
白羽くん





<物語の舞台>

スマイルマート白色町駅前店

<ストーリー>

古倉恵子は、郊外の家で、普通の家に生まれ、普通に愛され、育ったが、所謂”普通の人”がどういうものか実感できず、子供時代は奇行が目立ったが、周りを悲しまさないよう、成長するにつれ、本来の性格を抑え”普通”を演じるようになり、コンビニのアルバイト店員となり、世界の部品になり世界の歯車となる事を喜ぶ。

そんな古倉恵子の”普通の人”という仮面を被りたいという思いと「世界の誰からも干渉されたくない。隠れて暮らしたい。」という白羽くんの利害が一致し、同棲し始める。・・・・・

<読後感想>

大き過ぎる自身の理想とそれに見合わない、程遠い現実。それに、現実との齟齬。
白羽くんは、明らかに自己愛性パーソナリティ障害である。

一方、似たような考えを持つ古倉恵子は、内面では自身の性格と世界の間に違和感を持ちつつも、現実との齟齬を来さず、病気ではなさそうだ。
「私の細胞全部が、コンビニのために存在しているんです」という古倉恵子が、生きづらさを感じつつ、最終的に自分本来の居場所を見付ける青春小説と読める。

現代日本は、白羽くんの言うように、多様な生き方を認めているようで、”村の掟に従う者のみが村に認められる、縄文時代と何も変わっていない。”のかも知れない。
それは、古倉恵子が白羽くんと同棲した時のミホや古倉恵子の友人が見せる反応、妹や職場での反応を見るとわかる。

古倉恵子は、普通の人の価値観に合わそうと生きるが、普通の人とは多数派というだけで、一風変わった存在なのかも知れない。
古倉恵子という普通の人の社会の向こう側の存在から見た視点で読んでいくうちに、そんなことを考えさせられた。

小説自体は、そんな深刻ではなく、時間軸も過去から現在へと一本軸で、キャッチーに、特に白羽くんと同棲した辺りから、ポンポン、物語は進む。
非常に読み易い。
読後感も清涼感がある。
非常に短い小説ですし、この作品で芥川賞も取っているので、オススメ致します。






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