[ 短評 ] 中上健次著『十九歳の地図・蛇淫 他』〜意外に繊細な作家であることがわかった。〜

  その昔、自分でどういう理由であったか、忘れてしまったが、ヤフオクで小学館文庫の中上健次の全集である選集を全巻購入した。 中上健次といえば、当時、大江健三郎、村上春樹に次ぐ日本文学を代表するような作家であった…

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[ 読後感想 ] 大江健三郎著『宙返り(上)』 オウム真理教事件を受けて、大江健三郎氏が何をどのようなことを読者に訴えようとしているのかを考えつつ、下巻に取りかかった。

  僕は、1968年生まれで、現在、52歳だが、リアルタイムで経験したオウム真理教事件は、相当ショックであった。 世間一般の人同様、理系の大学院まで行ったような高学歴な人間が、麻原のインチキくさい、似非科学に騙…

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大江健三郎「洪水はわが魂に及び」、ノアの方舟、浅間山荘事件

  取っ付き難いと言われる大江健三郎氏だが、僕のミステリー以外の読書歴では、村上春樹と並んで、よく読んでいる作家である。 が、確かに取っ付きにくい。僕も、何となく、その世界に浸りたい時期と読むことすらできない状…

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村上春樹、書き下ろし新作長編4月に文藝春秋社から発売『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

  巷では、前作のベストセラー小説となった『1Q84』(新潮文庫)の続編待望論が多いようですが、正直、結局、感想を書けずじまいだったbook3の僕の印象は薄いのですが、 村上春樹は『1Q84』book2によって…

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村上春樹と僕と君と。

僕と村上春樹との出会いは、僕の学部時代、街がすっかり、キズキや直子らに染まっていた、ちょうど、今のように、涼やかな風がなびく秋の頃だ。 誰もが、「僕とキズキと直子らの世界」に夢中になっていた。 まだ、バブルなんて姿かたち…

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村上春樹は『1Q84』book2によって、新たなる決意と覚悟と持つに至った、そして僕は、ハルキストとなった

  『1Q84』book1では、延々と続く性描写に少し辟易しましたが、青豆が問題の宗教団体へ潜入へと物語が進行すると、次は次はと読む手が押さえられず、二日くらいで一気に読めました。 結果、この『1Q84』boo…

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新潮社日本文学全集「吉行淳之介、遠藤周作、安岡章太郎」読了

やっとこさっとこ、「第三の新人」と呼ばれる「吉行淳之介、遠藤周作、安岡章太郎」の日本文学全集を読み終えることができました。足掛け二年くらい掛かりましたでしょうか^^;幾つか収録されている作品の中で僕が印象に残った作品は、…

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村上春樹『1Q84』book1を読み終えての感想

  100万部以上、売れ今や社会的ブームといえるような話題を提供している村上春樹氏の『1Q84』ですが、先ほど読み終えることが出来ました。 book1の導入部は比較的、引き込まれやすかったのですが、book1後…

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大江健三郎「芽むしり仔撃ち」

この「芽むしり仔撃ち」は、大江健三郎氏のみずみずしい感性で書かれた初の長編作品である。 <ストーリー>太平洋戦争末期、山中に集団疎開した感化院の少年たちは、疫病の流行とともに、山村に閉じ込められ、完全に外界から遮断される…

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これから大江健三郎読む人へ初期短編集「死者の奢り・飼育」「空の怪物アグイー」

ノーベル賞を取って有名になったため、大江健三郎の名前はよく知られるようになりましたが、ニュースステーションやNHKなどのテレビにもよく出演しています。しかし、実際にその文学作品を手にとって読んだことのある人は少ないでしょ…

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村上春樹作品の紹介

僕は村上春樹作品の目ぼしいものは読んでいます。初めて読んだ村上春樹の作品は、やはりというか話題になった「ノルウェーの森」でした。しかし、あまり面白いとは思わなかったので、村上春樹に対する興味は失せました。 ノルウェイの森…

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