21世紀になってから注目されている熟議討議を中心に展開されて書かれているのかと思いきや、少し勝手が違った。
勿論、熟議討議についても書かれているけれども。
市民の政治学―討議デモクラシーとは何か (岩波新書)
内容(「BOOK」データベースより)
「第二の近代」に入りつつある二一世紀において、私たち市民はどんな課題に取り組まねばならないのか。
欧米で議論されている最新の市民社会論やデモクラシー論を紹介しつつ、現在の政治社会の変容を歴史的文脈の中で分析する。
そのうえで、デモクラシーを深化させる新しい社会の像、政治の形を展望していく、市民のための政治学講議。
内容紹介
はじめに
1章 近代社会はどう変わりつつあるか
1 近代の流れ
2 何が近代を準備したか
3 近代の構造
4 変容する近代
5 自省的近代化
2章 「第二の近代」とその争点
1 政治変容の諸相
2 経済変容の諸相
3 地球化のインパクト
4 「第三の道」とは何か
3章 新しい市民社会論
1 市民社会論の系譜
2 ハーバーマスの市民社会論
3 市民社会の展開
4章 揺れる市民社会
1 ポピュリズムの歴史的諸相
2 ポピュリズムの共通性
3 ナショナリズム考
5章 討議デモクラシー
1 行動的市民とデモクラシー
2 討議制意見調査
3 コンセンサス会議
4 計画細胞と市民陪審制
5 多段式対話手続き
6 いくつかの問題
終章 市民の条件
書評
第1章において、近代の特性が端的にまとめられている。
時間、空間の均質性。都市からの闇の消滅。等価交換。
僕的には、何度も読んだことであるが、自分達が生きているポスト近代の世界が、いかに絶対的なものではなく、歴史的に形成されてきた相対的な世界であることを知る上で、何度、読んでも興味深い。
戦後の政治状況が、軽く、コンパクトにまとめられている。
現在、政府から問題群が発信されているが、環境問題、原発の問題など、いかに、市民の側から、問題を発信されているかを、新たな視点で気付かされた。