「ホワイトアウト」から真保裕一の本を読み始め、目ぼしい作品を大体読んでます。「ホワイトアウト」もよかったですがこの「奪取」も面白かったです。
フリーターみたいなことしてた若者がスキャナなどの手近かにあるコンピューターなどで手の込んだ偽札を作り、ATMで本物のお札に変える事に成功させます。が、それが玄人に目に付けられます。また、親友の街金でのローンで、ヤクザに痛い目に合わされます。ここまでは、畳み掛けるように非常にテンポがいいです。この親友と玄人の3人がチームを作り、本当のお札に使っている紙は、珍しい植物で出来ているらしいのですが、その植物を育てるところから玄人の指導を受け本格的に始めます。
真保裕一さんは、綿密な取材の元、小説を執筆されるそうですが、この「奪取」も偽札作りについて微にいり細に入り書かれてあります。半分以上、よく解らず、そこまでする必要があるのかなあとも感じました。
3人の仲間割れみたいな事もありますが、最終的に痛い目に合わされたヤクザとそれにつるんでる銀行屋に一泡食わそうという事になります。
それに向けて綿密な計画を立てスリリングに実行していき、読んでいる方も面白かったです。
ラストは、初版と文庫本版では違うらしいですが、文庫本版のほうがイキで若者らしい痛快さがありました。
偽札作りは国家への重大な反逆で、罪も重いのですが、この「奪取」は普通の若者が、偽札作りという大それた事を軽快に実行する痛快さがあります。
真保裕一は「ホワイトアウト」だけじゃないですよ。
追記しておくと、真保裕一さんが印刷関係者に取材したところによると、今なら機械が向上し、やろうと思えば精巧な偽札を作ることが出来ると口をそろえて言ってたそうです。
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