[ レビュー ] 中根千枝著『タテ社会の人間関係』〜とても名著とは思えない、内容の浅い本である。


 

大人のための日本の名著50 大人のための名著 (角川ソフィア文庫)』に紹介されていたと思うが、それまで知らなかったが、日本論の名著という事で、日本文化には興味を持って見ているので、購入して、読んでみた。

タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)

内容紹介

日本社会の人間関係は、個人主義・契約精神の根づいた欧米とは、大きな相違をみせている。
「場」を強調し「ウチ」「ソト」を強く意識する日本的社会構造にはどのような条件が考えられるか。
「単一社会の理論」によりその本質をとらえロングセラーを続ける。(講談社現代新書)





1967年刊行、日本論の新しい古典!

「ウチの者」と「ヨソ者」、派閥メカニズム、日本型リーダーの条件……
ビジネスパーソン必読、これを読まずに組織は語れない。

なぜ日本人は上下の順番のつながりを気にするのか?
なぜ日本人は資格(職業など)よりも場(会社など)の共有を重視するのか?――
日本の社会構造を鋭く析出したベストセラー!

著者について

1926年、東京生まれ。
東京大学文学部東洋史学科卒業。
のち、ロンドン大学で社会人類学を専攻。現在、東京大学名誉教授。

研究対象は、インド・チベット・日本の社会組織。





著書に『適応の条件』『タテ社会の力学』――講談社現代新書、『家族を中心とした人間関係』――講談社学術文庫――など。

レビュー

名著とも言われる本書であるが、とてもそうだとは思えない。
丸山眞男の『日本の思想 (岩波新書)』を読む方が、よほど有益であり、刺激に満ちた読書体験を得られるであろう。

著者の中根千枝は、社会人類学者である。
そして、本書で、日本社会の隠れた構造を取り出そうと試みている。
それが、タテ社会である。

ただ、日本に儒教が大きな影響を及ぼしている。
そういうことを抜きにしても、普通の日本人であれば、改めて「日本は、タテ社会である。」と言われずとも、そう感じているのではないか。

例示に乏しく、あっても、通例、類書である社会学系の書であれば、ふんふんと納得する事が多いのであるが、本書で示された例示に納得する事は少ない。





また、インド社会などの社会との比較文化論の形を取るが、そのインド社会の記述にも乏しく、あっても、著者のいる学者社会での2、3の見聞でしかなく、著者の言う日本のタテ社会の文化が世界的に珍しい社会なのかどうかの判断ができず、世界での日本文化の位置付けも定かでなく、また、日本社会の文化を浮きぼらせる事もできていない。

全体として、着想はあったかも知れないが、それを裏付ける事実調査がなおざりにされているのは、社会人類学者として、如何なものか?

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