ホラー小説、恩田陸「六番目の小夜子」なんていかがですか?

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六番目の小夜子
六番目の小夜子
恩田 陸

すっかり、ベストセラー作家の仲間入りした恩田陸のいわくつきのデビュー作です。
どこがいわくつきかと申しますと、この作品は新潮社だったかの公募賞のイイ線までいった作品で、その後出版されました。が、重版しなかったのかその後絶版になってしまいました。しかしながら、読者の強い要望により復刊した作品です。それだけ一部の人ですが、その人達の心に残ったという訳です。


物語は、とある進学校に伝わるサヨコ伝説を軸に話が進みます。サヨコ伝説とは、生徒たちもいつから始った伝説であるかは定かではなく、毎年、秘密裏に“サヨコ”に選ばれた3年生の生徒が(名前がサヨコである必要はありません)、秋の文化祭で何か催し物みたいなものをしなくてはならないのです。その催し物で出来不出来が、その年の学校生活に何らかの影響を及ぼすというのが伝説です。

例えば、例年になく進学率が上がったとか、不出来の年に自殺者が出たとかです。まあ簡単言えば“学校の怪談”のようなものです。この伝説は、一部の生徒だけがよく知っており、他の生徒はなんとなく知っている程度です。

文化祭の実行委員だけは、よく知っており代々、この催し物に対してどのような手順を踏むかが伝えられています。しかし、今年のサヨコが誰であるのかは、この実行委員も知りません。代々、サヨコに選ばれた人が卒業式の日、新3年生に”あなたがサヨコよ”という証しを渡します。

サヨコに選ばれた人は誰にも知られずに文化祭に向けて準備をせねばならず、その重圧に負けて自殺したという人もいるとかいないとか。

物語は、このサヨコ伝説のある学校に、本当に小夜子という名前の転校生が現れ、この年のサヨコに選ばれた人物に混乱をもたらせます。
というのは、この小夜子という転校生が時々不可思議なことをしたり、このサヨコ伝説のそもそもの元になるような事件にも絡んでいるらしいという疑惑があったりで、神秘のベールに包まれているからです。




で肝心の文化祭の催し物ですが、これが非常に独創的で、それでいて読んでいると恐怖感があり、自分の背中になにかいるんじゃないかとか思ったりしてました。僕は、あまり怖いとかという評判の映画や小説を読んでも、めったに怖いとか思わず、”面白い”とか”よくできている”という感想を持つのですが、これは怖かったです。ゾンビに代表される西洋的な怖さではなく「四谷怪談」や「耳なし芳一」に代表される日本的な怖さです。僕は自宅でそんな怖さに遭遇すると、部屋の隅が非常に気になったり、自分の背中の背後になんかいるんじゃないかと気になるのですが、これは僕だけなのかは知りません。

この小説に最後の方に”サヨコ伝説”のカラクリみたいなものが、そっと紹介されるのですが、何か興ざめで、別に要らなかったんじゃないかと思いました。大賞を逃した大きな原因に、このカラクリがあったのかもしれません。

この小説は、一種のホラー小説でしょうが、恩田陸さんお得意の学園青春小説でもあります。高校生のみずみずしい感受性をよく描けています。

この「六番目の小夜子」は、今では新潮文庫の100冊なんかに選ばれたりもしています。

評価:★★★☆☆

恩田陸さんは、その後皆さんもご存知のようにSF,都市伝説を含めたホラー小説、学園青春物と様々なジャンルの作品を発表し、いずれもよく読まれています。今年の本の雑誌増刊号の書店員が選んだ本屋大賞、まだ二度目ですが年末の「このミステリーがすごい」のように恒例化し定着するのではないかと個人的に思っている賞です、その本屋大賞の堂々の1位に選ばれた「夜のピクニック」などは学園青春物の代表ではないでしょうか。

恩田陸さんの作品は、その他「Q&A」しか読んでいませんが、この作品はチョット水準には及ばなかったと言う感想を持ちました、どなたか面白い作品、できればミステリーかホラーでありましたら教えていただけないでしょうか?

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  6.  私が鑑賞するのは、これが単なるミステリーでないという処なんです。実に、ここで描かれてるのは監視の学生の制度ではないか、と思い当たるのです。彼らは、おそらくあらゆるドラマのモデルでありながら、時折事件を起こす。そういった、一つの群像ではないかと。

  7. 談上圭さん、こんばんはーです。
    レス、遅くなりスイマセンです。
    なにせ年末にPCが故障したもので・・・。
    「監視の学生の制度」ですか。僕には思い当たる節はないのですが・・・。
    ただ、僕が学生時代を送った時代はまさに“管理教育”の時代で「監視の学生の制度」と言われればそのようにも感じます。
    本の読み方は、人それぞれですネ!
    貴重なご感想ありがとうございました。

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