内容(「BOOK」データベースより)
二十世紀末の世界における大きな二つの変化―冷戦に依拠した支配体制の終焉と、グローバル化のさらなる加速―は、当然ながら歴史学にも大きな影響を与えた。旧来の問題設定が無効化した後、進行形の現実の変容に、いかに対峙していくべきか。
本書では、現在の歴史学の問題意識を体現する代表的著作を精選し、その意義を読み解く。いま必要な、歴史という経験に学ぶための新たな視座がここにある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
樺山/紘一
1941年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。
京都大学人文科学研究所助手、東京大学文学部助教授、同教授、国立西洋美術館館長などを経て、2005年より印刷博物館館長。東京大学名誉教授、国際歴史学会議副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
新・現代歴史学の名著―普遍から多様へ (中公新書)
書評
編者・樺山紘一氏と言えば、1980年代頃から、歴史学においてニューアカデミシャンと呼ばれるような気鋭の歴史学者である。
旧「現代歴史学の名著 (中公新書)」が、アナール学派を基調に置いた、どちらかというと、歴史学科の学生向けの書籍が選ばれていたとすると、
この「新・現代歴史学の名著」は、グローバル化を背景に、ウォーラステインンの「近代世界システム」を基調にし、本来、歴史学の範疇に収まらないサイードの「オリエンタリズム下 (平凡社ライブラリー)」やベネディクト・アンダーソンの『定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)』などが紹介されている。
また、ベストセラーとなった、アメリカの研究者・ジョン ダワー氏による、戦後日本の庶民の姿を描いた「敗北を抱きしめて」までも。
いわば、「現代歴史学の名著」が、オーソドックスに、基本的に歴史学を学ぶ者に、選書したとしたなら、
この「新・現代歴史学の名著」は、樺山紘一氏の本来の個性が出た、旧来の歴史学に挑戦状を叩き付けるような選書となっており、歴史学という範疇に収まらない、少し高度な書を読んでみたいというような人向けの書籍の紹介となっている。