追悼 丸谷才一さん。-その偉大な功績と僕と丸谷氏


 

丸谷才一 – Wikipedia.

 

2012年10月13日、心不全のため亡くなった。 87歳であった。 お歳から考えて、長寿をまっとうとしたと言ってもおかしくないのですが、僕にとっては、突然の出来事であり、ショックであった。
まだまだ活躍して欲しかった人である。

ちょうど、僕は、丸谷才一さんが仕切った毎日新聞の書評欄「今週の本棚」ができたいきさつを、愉快な本と立派な本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選(1992~1997)から引用し、僕のWikiである 毎日新聞「今週の本棚」 – KI-Wiki. に作成中であった。

ウィキペディアよりも、毎日のニュースの方が的確に丸谷才一さんのことを評しているように、文学者、翻訳家、評論家と多彩な顔をもつ丸谷才一さんであったが、何よりもイギリスの書評文化から大いに学び、紹介し、自身、日本の新聞の書評文化に多大なる貢献をされた方でした。

                 

文庫本の方は、単行本からの抜粋で、単行本に収められている書評が全て収められているわけではありません。
そのことを、僕は、文庫本を購入してから知り、改めて単行本の方を購入致しました。
この本は、高く評価されている本です。

 

●僕と丸谷才一さん初めての出会い

 

おそらく高校時代であったと思いますが、僕と丸谷才一さんの出会いは、忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫)、Amazonのレビューにおいても、あまり高い評価が得られていないように、僕にとっても、この本は、当時、丸山真男、内田義彦、大塚久雄ら硬派な新書を読んでおり、僕にとっても「忠臣藏とは何か」は、なんだかつまらない内容でした。

 

●二度目の丸谷才一さんとの出会い

 

僕と丸谷才一との二度目の出会いは、OKWebでの僕の「死ぬまでに是非読んでおく必要のある本は何ですか?」という趣旨の質問ででした。





当時の僕は、おそらく社会人になっており、自分の読んでいる本の分野に行き詰まりを感じ、こういう質問をしたのだと思います。
20代の頃なので、今から約20年前のことでしょう。

この質問のトピックは、非常に盛り上がり、それ自体面白く楽しかったのですが、回答者の中に「世界文学を知りたいのならば、丸谷才一さんのエッセイを読むといいですよ。」という回答がありました。

が、僕は、前述の忠臣藏とは何か (講談社文芸文庫) の悪い印象があったので、そうするつもりはなく、結局、丸谷才一さんのエッセイを探すことすらしませんでした。

 

●三度目の丸谷才一さんとの出会い

 

それは、多分、書店で見つけた丸谷 才一さん(丸谷 才一さんのAmazon著者ページ三浦 雅士さん(三浦 雅士さんのAmazon著者ページ)、鹿島 茂さん(Amazon)らが、池澤夏樹さん 個人編集 世界文学全集が、まだ好調な売れ行きになり、出版界のちょっとしたいいニュースになる前だと思いますが、久しく文学全集が出版されない中、ベスト形式で自分達なら、この小説を入れるだろうと丸谷才一さんを中心に対談形式で全集に入れる小説を決めていく本である文学全集を立ちあげる (文春文庫)でありました。

この時、僕は、世界文学への情報に飢えていて、この文学全集を立ちあげる (文春文庫)をとても楽しく読ませて貰いました。

内容は、主に鹿島茂さん、三浦雅士さんが自分が是非とも入れたい小説(主に古典とされる19世紀小説)を挙げていき、3人が協議し、順番に順位をつけて仮想の全集に入れていくというものです。

面白かったのは、鹿島茂さん、三浦雅士さん、勿論、丸谷才一さんとも、すでに各界で高い評価をもらっている方でしたが、鹿島茂さんと丸谷才一さんの押す作品は一致するのですが、三浦雅士さんだけ時折、孤立し、丸谷才一さんに一蹴されたりするところを、文芸評論家として青春の終焉 (講談社学術文庫)など高く評価されている三浦雅士さんが、子供がおねだりするように、丸谷才一さんらに懇願するところが、なんとも微笑ましく面白かったです。

この頃から、明らかに僕の中で丸谷才一さんの認識が変わりました。

 

●丸谷才一さんとの本格的な出会い

 

それは、やはり、毎日新聞の書評欄「今週の本棚」です。





この「今週の本棚」については、改めて記事にしたいと考えているのですが、まず、その圧倒的な文字数に驚かされる。
また、他の新聞の書評欄と一線を 画するのは、著者名よりも書評者の名前のほうが圧倒的の大きいことです。

もし、各紙の新聞の書評欄を愛読しておられる方がいて、その文字で埋まった毎日新聞の書評欄を敬遠されている方がいれば、是非、僕からお薦めします。

丸谷才一さん死去:深い教養とユーモア 「考える快楽」描き日本問う- 毎日jp(毎日新聞).にあるように、女ざかり (文春文庫)などの小説、日本文学、海外文学に深い造詣を示す評論、エッセージョイス『ユリシーズ』全4巻セット (集英社文庫)などジェイムズ・ジョイスの翻訳と多彩なジャンルで縦横無尽に活躍した文学者でした。

それに、『源氏物語』を終生、愛し、丸谷才一さんの書く文章は、どれも旧仮名遣いでありました。
それほど、日本文学を愛し、誇りに思っていたのでしょう。

しかし、一番の貢献は、記者の目:丸谷才一さんと新聞 冠木雅夫=編集編成局- 毎日jp(毎日新聞).にあるように、日本の書評文化の貢献ではないでしょうか。

評者も、イデオロギーに左右されることなく、山崎正和氏のような保守派の論客から、どちらかと言うと左派の論客まで幅広く、その人の力量において人選されてました。

この記事を書いた冠木雅夫記者は、「上機嫌な書評欄を作ってくれた丸谷先生、あなたは漱石をしのいだ大編集者でした。」とまで書いています。
僕は、無知なため、芥川龍之介を始め、門下から多くの優れた文学者を輩出した夏目漱石の編集者としての仕事を知らないのですが、記事にあるように、明治時代の夏目漱石、昭和初期の菊池寛に並ぶ人には間違いないでしょう。

心より御冥福をお祈り致します。

 

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