草薙は、仕事に取りかかりながら、ぼんやりと写真の男の事を考えていた。
あの男は、いずみさんにとって、どういう人だろう?
やっぱり、いずみさんのいい人なんだろうなぁ。
ちょっと、それとなく、聞いてみようかぁ。
潔子(きよこ)さんに、聞けばよいかな。
あ、そうだ。
仕事が終わっても、マウンテンカフェの常連になっちゃおうかなー。
そういうのも、ありだよな!
でも、いずみさん、綺麗だよなぁー。ほんと。
今まで見た女性の中で、飛び切り、綺麗だ。
どんな男性が、タイプなんだろう。
写真の男は、無骨そうで、少しおっかなそうだったけど。
あーいうのが、タイプなのかなぁ。
それとも、たまたまなんだろうか?
趣味は何かな。
フラワーアレンジメントというような感じだよな。
俺は、写真だけしか、わからないし。
俺にもチャンス、あるだろうか。
料理も、上手そうだよな。
そつが無いというか。
縁遠いよな。
別に、恋人にならずとも、別にいいんだ。
と、少し無理矢理に、自分に、言い聞かせていた。
書きかけのクロッキー帳から、窓の外を眺めてみると、星が薄くなりかけ、夜が明けようとしていた。
草薙は、ぼんやりしつつ、描きかけのデザインを、幾つか、完成させていった。
ラジオから、朝のニュースが流れ出していた。
周りの家が、起き出し、朝の雑踏が始まろうとしていた。
ふと見ると、我が草薙君は、クロッキー帳に、だらしなく、顔を伏せ、眠りに入っていた。
「いずみさん♡」
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