「このミステリーがすごい!」2010 ベスト10 海外編


昨年(2009年)の海外ミステリーは、スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』の話題で持ちきりでしたが(作者であるスティーグ・ラーソンは、残念ながら急逝。)、今年の海外ミステリーはいかに。
1990年代、刊行され、映画とともに話題となった『薔薇の名前
』のウンベルト・エーコが、久々に新作『バウドリーノ
』の翻訳が刊行されましたが、一般紙の書評にも取り上げられていましたが、刊行月が11月であったため、これらの年末のミステリー・ベスト10の対象外であったようです。
はたして、この物凄く出版点数が多い昨今、来年までその名を覚えている人がいるのだろうかと思いつつ、ウンベルト・エーコは別格だから、大丈夫であろうとも思います。

さて、そんなミステリー・ベスト10の記事を作成しつつ、いつの間にやらその名を毎年目にするジェフリー・ディーヴァーですが、出世作となったリンカーン・ライム・シリーズは、第1作の『ボーン・コレクター
』は大変、楽しませてもらったのですが、現在、2作目の『コフィン・ダンサー
』を読んでる途中のままで、中々新作には追いつけません。
まあ、もうすでにジェフリー・ディーヴァーは、違うシリーズを開拓し、今年ランクインしている作品もリンカーン・ライム・シリーズではないのですが・・・。

リンカーン・ライム・シリーズに興味をもたれた方は、こちらを参考までに。
秋の夜長に一気に読みたい、映画よりも断然面白いジェフリー ディーヴァー「ボーン・コレクター」

それでは、今年(2010年)の「このミステリーがすごい! 2011年版
」の海外ミステリー・ベスト10をお伝えします。



1.愛おしい骨 キャロル・オコンネル 創元推理文庫 190点

<ストーリー>
十七歳の兄と十五歳の弟。二人は森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように偏執的に保たれた家。何者かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつひとつ置いてゆく。一見変わりなく元気そうな父は眠りのなかで歩き、死んだ母と会話している。何が起きているのか。次第に明らかになる町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。著者渾身の大作。解説=川出正樹





2.音もなく少女は ボストン・テラン 文春文庫 175点

<ストーリー>
「このミス」第1位の天才が放つ哀切の傑作

運命を切り開くには銃をとるしかない。荒んだ街に全てを奪われ、耳の聞こえぬ少女は心を決めた──悲痛きわまる慟哭の傑作
貧困家庭に生まれた耳の聴こえない娘イヴ。暴君のような父親のもとでの生活から彼女を救ったのは孤高の女フラン。だが運命は非情で……。いや、本書の美点はあらすじでは伝わらない。ここにあるのは悲しみと不運に甘んじることをよしとせぬ女たちの凛々しい姿だ。静かに、熱く、大いなる感動をもたらす傑作。 解説・北上次郎

3.卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド・ベニオフ 早川書房 170点

<ストーリー>
全米30万部のベストセラーを記録! 戦争の愚かさと、逆境に抗ってたくましく生きる若者たちの友情と冒険を描く傑作歴史エンタテインメントの大傑作

「ナイフの使い手だった私の祖父は十八歳になるまえにドイツ人をふたり殺している」作家のデイヴィッドは、祖父のレフが戦時下に体験した冒険を取材していた。ときは一九四二年、十七歳の祖父はナチスドイツ包囲下のレニングラードに暮らしていた。軍の大佐の娘の結婚式のために卵の調達を命令された彼は、饒舌な青年兵コーリャを相棒に探索に従事することに。だが、この飢餓の最中、一体どこに卵なんて?

4.フランキー・マシーンの冬(上下) ドン・ウィンズロウ 角川文庫 156点

<ストーリー>
2009年「このミス」1位の『犬の力』に続く、ウィンズロウの最新作!

かつてその見事な手際から”フランキー・マシーン”と呼ばれた伝説の殺し屋フランク・マキアーノ。サンディエゴで堅気として平和な日々を送っていた彼が嵌められた罠とは--。

5.ラスト・チャイルド ジョン・ハート ハヤカワ・ミステリ文庫 145点

<ストーリー>
早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞&英国推理作家協会賞最優秀賞スリラー賞二冠。

少年ジョニーの人生はある事件を境に一変した。優しい両親と瓜二つのふたごの妹アリッサと平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。その後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように……。少年の家族は完全に崩壊した。だが彼はくじけない。ただひたすら家族の再生を信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける。

6.エコー・パーク(上下) マイクル・コナリー 講談社文庫 138点

<ストーリー>
ボッシュ・シリーズ最高傑作!
殺人鬼は不敵に告白する
司法取引で明かされた衝撃の未解決事件





ロサンジェルスのエコー・パーク地区で、女性2人のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕された。容疑者は司法取引を申し出て、死刑免除を条件に過去9件の殺人も自供するという。男の口から語られるおぞましき犯罪。その中に未解決事件班のボッシュが長年追い続ける、若い女性の失踪事件も含まれていた。

警察小説の最高峰「ボッシュ・シリーズ」
ハリー・ボッシュは、ミステリ界の巨匠マイクル・コナリーが生み出した屈指のキャラクター。職業はロサンジェルス市警刑事で、ロスから凶悪殺人犯を減らし、被害者の無念を代弁することを「使命」と任じている。その性格は狷介で直情径行。妥協を許さず、上に媚びず、おのれの信念のためには、上司であれ同僚であれ恋人であれ軋轢を厭わない。他人と馴れあうことを潔しとしない一匹狼的人間である。――<訳者あとがきより摘記>

7.エアーズ家の没落(上下) サラ・ウォーターズ 創元推理文庫 130点

<ストーリー>
かつて隆盛を極めながらも、第二次世界大戦終了後まもない今日では多くのものを失い、広壮なハンドレッズ領主館に閉じこもって暮らすエアーズ家の人々。かねてから彼らと屋敷に憧憬を抱いていたファラデー医師は、往診をきっかけに知遇を得、次第に親交を深めていく。その一方、続発する小さな“異変”が、館を不穏な空気で満たしていき、人々の心に不安を植えつけていく……。たくらみに満ちた、ウォーターズ文学の最新傑作登場。

8.陸軍士官学校の死(上下) ルイス・ベイヤード 創元推理文庫 128点

<ストーリー>
引退した名警官ガス・ランダーは、ウエストポイント陸軍士官学校のセアー校長に呼び出され、内密に処理したい事件の捜査を依頼される。同校の士官候補生の首吊り死体から、何者かが心臓をくり抜き持ち去ったというのだ。捜査の過程でランダーは、ひとりの年若い協力者を得る。士官候補生一年の彼は青白い顔の夢想家で、名をエドガー・アラン・ポオといった――青年時代の文豪ポオを探偵役に迎えた、詩情豊かな傑作謎解きミステリ。

9.ロードサイド・クロス ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 109点

<ストーリー>
美貌の人間嘘発見器、ネットの闇に挑む

その少年をネット上でバッシングした者たちの命が狙われている。尋問の天才ダンス捜査官が狡猾な犯罪計画に挑む。巨匠の最新傑作
嘘を見抜く達人キャサリン・ダンス。「このミス」第5位に選ばれた『スリーピング・ドール』に続き、彼女が予告殺人に挑む。人を轢き殺したとして有名ブログで吊し上げられた少年をバッシングした者が次々に命を狙われる。ダンスは失踪した少年をリアル世界とネットの両面から追う! 犯罪計画の見事さ、結末の驚愕、そしてキャラ小説としての面白さでディーヴァー史上でも屈指の傑作!(NS)

10.英雄たちの朝 ファージングⅠ ジョー・ウォルトン 創元推理文庫 105点

<ストーリー>
●川出正樹氏推薦――「英国人の血に流れる不屈の闘志。誇りを胸に強大な”内なる敵”に立ち向かう人々を活写した傑作大河娯楽小説」
●法月綸太郎氏推薦――「クリスティからル・カレまで、英国ミステリ最上級の興奮と感動がいま甦る!」





1949 年、副総統ルドルフ・ヘスの飛来を契機に、ナチスと手を結ぶ道を選んだイギリス。和平へとこの国を導いた政治派閥「ファージング・セット」は、国家権力の中枢にあった。派閥の中心人物の邸宅でパーティーが催された翌朝、下院議員の変死体が発見される。捜査にのり出したスコットランドヤードのカーマイケル警部補だが──。傑作歴史改変エンターテインメント三部作、開幕。訳者あとがき=茂木健

各ストーリーは、各出版社のHPより引用しています。
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