直木賞、芥川賞、発表!


芥川賞は伊藤たかみさん(35)の「八月の路上に捨てる」(文学界6月号)、直木賞は三浦しをんさん(29)の「まほろ駅前多田便利軒」(文芸春秋)と、森絵都さん(38)の「風に舞いあがるビニールシート」(同)に決まった。

伊藤さんの妻は、直木賞を昨年受賞した作家の角田光代さん(39)で、夫婦で芥川と直木の両賞に輝くのは初めて。

贈呈式は8月22日午後6時から、東京・丸の内の東京会館で開かれ、正賞の時計と副賞100万円がそれぞれ贈られる。



 伊藤作品は、自動販売機の清涼飲料水配送のアルバイトをしている29歳の男が主人公。夏の一日、年上の女性運転手と仕事をしながら交わす会話に重ねて、彼の結婚生活の破たんがつづられる。青春の終わりが繊細な文章で描かれている。

 芥川賞選考委員の高樹のぶ子さんは「若者たちの生活疲れや切なさを的確に表現して、まとまりも良い。すべてを使い果たしながら、最後は勝つかもしれないという希望を持つ主人公の生き方が表れていた」と評した。

伊藤さんの妻の角田光代さん(39)は昨年に「対岸の彼女」で第132回直木賞を受賞しており、夫婦で両賞を受けるのは芥川・直木賞の71年の歴史で初めて。

 夫婦で初めて芥川賞と直木賞の両賞を受けた伊藤たかみさんと角田光代さん。昨年4月に婚姻届を出した2人が夫婦であることは、これまで新聞や雑誌で取り上げられたことはなく、編集者や作家の間でもそれほどは知られていなかった。





似た者夫婦と言えるかもしれない。2人の書き手の共通点としてまず、純文学とエンターテインメントを横断する積極的な執筆態度が挙げられる。文学としての質の高さと物語の味わいの両方を持った文学世界だ。

 ささいな日常からきらりと光る細部を拾い上げる作風も似ている。柔軟な文章や意表を突く着眼点も共通している。日常生活のよきパートナーは、文学上ではよきライバルといえそうだ。

 伊藤さんの会見をそっと見守っていた角田さんは「直木賞受賞者の2人も親友だし、3人そろっての受賞はすごくうれしい。今晩はお祭りですよ」と喜んだ。同じ仕事をする者同士としては「作家として干渉し合わずにやってきたので、私が言うことはそんなに……」と遠慮がち。2人そろっての写真も固辞した。

◇直木賞も女性2人が受賞

 直木賞もフレッシュな顔ぶれの女性2人に受賞が決まった。いずれも短編集。現代社会における個人の生き方を問いかける作風が文壇に新風を呼び起こしそうだ。三浦さんは、史上4人目の20代での同賞受賞者。

まほろ駅前多田便利軒
まほろ駅前多田便利軒
三浦 しをん
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 三浦作品は、東京の郊外で暮らす人々の姿を描いた連作。便利屋を営む元同級生の男2人のコンビが、一筋縄ではいかない仕事の依頼を次々とこなしていく。テンポのある文章が魅力で、面白くて、やがてほろりとくる物語になっている。

風に舞いあがるビニールシート
風に舞いあがるビニールシート
森 絵都

 森作品は、ケーキにほれこんだ秘書、犬を保護するボランティアなど自分独自の大事な価値観を持っている人々が登場する6編からなる。多彩な職業を通して地道に頑張っている人々の姿を、時に大きな社会的テーマを絡めて優しい視線でみつめ丁寧に描いている。

 選考委員の井上ひさしさんは「三浦作品は、子供は親を選び直すことができるのか、一生懸命に探している小説だ。森作品は理想主義やヒューマニズムなどの価値をよみがえらせた。2人とも日常に社会の問題が入ってきていることを書こうとした。それは、社会自体が追いつめられていることの反映だろう」と語った。

【略歴】伊藤たかみさん(いとう・たかみ) 神戸市生まれ。早大政治経済学部卒。在学中の95年「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」で文芸賞。児童文学も手がけ、「ミカ!」で小学館児童出版文化賞、「ぎぶそん」で坪田譲治文学賞。東京都杉並区在住。

 【略歴】三浦しをんさん(みうら・しをん) 東京都生まれ。早稲田大第一文学部卒。卒業翌年の00年「格闘する者に○」で小説家デビュー。他に「私が語りはじめた彼は」「むかしのはなし」、エッセー「人生激場」など。東京都町田市在住。

毎日新聞より。
Yahoo!ニュース – 毎日新聞 – <芥川賞>伊藤たかみさんに 直木賞は三浦しをんさんら2氏

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