「このミステリーがすごい２００７年版」海外編ベスト１０発表！

週刊文春では、ローリー・リン・ドラモンドの「あなたに不利な証拠として」が圧倒的な強さを見せ付けたが、「このミステリーがすごい!2007年版（このミス）」ではいかに？

このミステリーがすごい!2007年版
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１．あなたに不利な証拠として　ローリー・リン・ドラモンド　　点数　１８４

「あなたに不利な証拠として」強し、「このミステリーが凄い！（このミス）」でも堂々１位を獲得しました。
「あなたに不利な証拠として」という題名は、アメリカの警官が、生涯で最も口にする言葉、被疑者への法律的な通告であるミランダ警告から取られているという。
ルイジアナ州バトンルージュ詩警察で働く人の女性警官たちを主人公にした１０の物語で構成された異色のオムニバス短編集。
女性警官という仕事が負わざるを得ない過酷な使命と不条理な現実を、くっきり浮かび上がらせた事件や捜査よりも、主人公を描き出した作品。
「このミステリーが凄い！（このミス）」では、並みのミステリでは到底得られない読書のカタルシスを味わえると評している。

２．クリスマス・プレゼント　ジェフリー・ディーヴァー　　点数　１２０

クリスマス・プレゼント
ジェフリーディーヴァー
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クリスマス・プレゼント

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リンカーン・ライムシリーズ等の長編で安定的な評価を得ているジェフリー・ディーヴァーの、こちらも高い評価を得ている最初の短編集。
長編でもお馴染みのサプライズエンディングの妙味が短編でも味わえるという。

リンカーン・ライムシリーズ第１弾である「ボーン・コレクター」の僕のレビュー記事はコチラ　ミステリーが好き・・・ | 映画よりも断然面白い「ボーン・コレクター」

２．荒ぶる血　ジェイムズ・カルロス・ブレイク　　点数　１２０

荒ぶる血
ジェイムズ・カルロスブレイク
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荒ぶる血

活劇小説、犯罪小説、ノワール、ウェスタン小説の要素が渾然一体となって展開するブレイクにしか書けないと評されるアウトロー小説。

４．風の影（上下）　カルロス・ルイス・サフォン　　点数　１１９

風の影〈上〉
カルロス・ルイスサフォン
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風の影

少年ダニエルが虜になったフリアン・カラックスという作家の１冊の」「風の影」という本を巡る少年ダニエルの成長とフリアン・カラックスの数奇な運命を描いたゴシック・ロマンスの怪しい雰囲気と、恋愛物語のロマンチシズムを絡めた成長の物語と評される作品。
「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」に絶賛のコメントが送られたというスペイン、バルセロナ発のエンターテイメント小説。

５．数学的にありえない（上下）　アダム・ファウアー　　点数　１１４

数学的にありえない〈上〉
アダムファウアー

主人公の青年ケインには、数学者として優れた才能があった。
ある日、そんなケインは、被験のアルバイトで投与された薬物がきっかけで不思議な力が芽生える。
そんな彼を政府の秘密機関が追い始める。狙いは、ケインの不思議な力だ。
ケインは、ＣＩＡの女性工作員ヴァナーと協力し、自らの力を駆使し、窮地を脱しようとするが、国家権力の謀略に巻き込まれていく・・・。
量子力学、統計学、確率論というガジェット、読者に徹底的に咀嚼し、エンターテイメントの素材として消化しきっているという。
「このミステリーが凄い！（このミス）」は、「ダ・ヴィンチ・コード」の読者が次に取るべき作品はこれだ！としている。

６．１２番目のカード　ジェフリー・ディーヴァー　　点数　１０５

12番目のカード
ジェフリーディーヴァー

女子高生ジェニーヴァがレイプ犯に執拗に狙われる。ニューヨーク市警の捜査顧問ライムは、例によって女性警官アメリアの助けを借りて、捜査を開始するが、犯人の狙いがレイプでなかったことが早々に分かる。
犯人の狙いは、一体何か？１４０年前に起こったジェニーヴァの祖先が巻き込まれた冤罪事件が関係するかと思われたが、事件は意外な展開を見せ、捜査は５里霧中に陥る。
合衆国の歴史の暗部の謎に迫っていくような歴史ミステリーを織り込んだ、またもや読者の意表をつくリンカーン・ライム最新作。

リンカーン・ライムシリーズ第１弾「ボーン・コレクター」の僕のレビュー記事はコチラ　ミステリーが好き・・・ | 映画よりも断然面白い「ボーン・コレクター」

７．奇術師の密室　リチャード・マシスン　　点数　９３

奇術師の密室
リチャードマシスン
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奇術師の密室

「13のショック」などでお馴染みの御大リチャード・マシスンの扶桑社ミステリーがお届けする初紹介長編。アメリカ本国での発表年は、９５年。
稀代の奇術師といわれたエミール・デラコートも、さる脱出マジックの失敗から引退を余儀なくされ、今は植物人間の一歩手前という境遇に置かれている。
そんな老奇術師の目前で息子マックスを陥れようと妻、妻の弟、密かに妻と密通しているマネージャーの３人とが騙し合いの奇術合戦を繰り広げる。

７．天使と罪の街（上下）　マイクル・コナリー　　点数　９３

天使と罪の街(上)
コナリー M.
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天使と罪の街

ご存知「ナイト・ホークス」で登場したマイクル・コナリーのボッシュシリーズ第１０作目。
本作は、シリーズとリンクする重要な作品「ザ・ポエット」と「わが心臓の痛み」の後日談となっている。
警察を嘲弄するような予告状とともに、ネヴァタの砂漠地帯で不審な死体が発見され、「ザ・ポエット」事件の関連からＦＢＩ捜査官レイチェルが現地に派遣される。
一方、ボッシュはかつて一緒に仕事をした心理分析官だったマッケイレプの不審死に付いて調査を行うことなる。
二人の捜査は、やがて交叉し、死んだはずの連続殺人犯の存在を浮かび上がらせていく。

９．絞首人の１ダース　デイヴィッド・アリグザンダー　　点数　８６

絞首人の一ダース
デイヴィッドアリグザンダー

かつて「血の中のペンギン」や「恐怖のブロードウェイ」という長編で知られるデイヴィッド・アリグザンダーが唯一残した短編集。
「このミステリーが凄い！（このミス）」は、人間の性や道徳、善悪といったテーマを真正面から捉え、そこにわずかな捻りが加わり、一種奇妙な味わいが生まれていると評している。

１０．わたしを離さないで　カズオ・イシグロ　　点数　８４

わたしを離さないで
カズオイシグロ

「日の名残」で英国最大の文学賞であるブッカー賞に輝いた現代文学の巨匠カズオ・イシグロの昨年、英米で発売されるやいなやベストラーになり、「タイムズ」誌の文学史上のオールタイムベスト１００にも選ばれた作品。
主人公はキャシー・Ｈと紹介される３０過ぎの女性。
彼女は、＜提供者＞と呼ばれる人々の介護の仕事をしていた。
彼らは、何故そんな場所にいたのかというのが、この小説のひとつの大きな謎である。
その謎をキャシー・Ｈの一人称によって明らかにされていく。
そして、次第に物語は、恐るべき全体像を読者の前に現していく。
ＳＦとも取れるこの物語は、科学の進歩を視野に入れて、この世に生をうけることの真の意味や生命の尊さを改めて問う文学作品の傑作である。

＜総評＞
週刊文春のベスト１０と重なる作品が多く、それだけ昨年は、安定した評価を得た作品が多かったということだろう。
週刊文春との違いは、「このミステリーが凄い！（このミス）」が過去の作家に目配りが利いているということだろう。
そんな中、「あなたに不利な証拠として」の圧倒的な強さと週刊文春ベスト１０にも２作品、挙げられていたジェフリー・ディーヴァーの安定的な評価が目立った。
また、純文学作品ながら、その作品の趣向から、いずれのベスト１０に挙げられていたカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」が特記すべき事項であろう。

その他、「このミステリーが凄い！（このミス）」では、ベスト２０位までのレビュー、「あなたに不利な証拠として」の早川書房の編集者のコメント、「このミステリーが凄い！（このミス）」２０周年前夜祭として過去１８年からのベスト・オブ・ベストを海外作品、国内作品から選出している。
また、国内外のエンタメ作品をジャンル別にそれぞれの識者が、昨年のシーンをレビューしたものが収められている。
また、「わが社の隠し玉」として翻訳作品の最新情報も掲載されている。

海外ミステリーのガイドブックも増えてきましたが、とれとれの作品群から、あなたのお気に入りを見つけてみてはいかが。

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