「このミステリーがすごい２００７年版」国内編ベスト１０発表！

先行する週刊文春と一味異なる新人作家、ベテラン作家への再評価へスポットライトをあてようと始まった“このミス”であるが、昨今では、メジャー化し、週刊文春のベスト１０と違わないではないかという批判があるらしい。
その事は、編集者らも気にしており、巻頭でそのことに触れられている。

さてはて、そんな「このミステリが凄い！」の昨年のベスト１０はいかに。

このミステリーがすごい!2007年版
注）購入を検討の方は画像をクリックしてください！

１．独白するユニバーサル横メルカトル　平山夢明　　点数　１２３

独白するユニバーサル横メルカトル
平山夢明

週刊文春のベスト１０にも選ばれていた「独白するユニバーサル横メルカトル」
内容は、嗜虐、スカトロ、人肉食というものが描かれた読むものを選ぶホラー作品。
このような作品が選ばれた事は、このミステリーが凄い（このミス）史上でも初めてのことであり、大きなサプライズだ。

２．制服捜査　佐々木譲　　点数　１１７

制服捜査
佐々木譲

大都会の札幌に勤務してきた一線級のベテラン刑事・川久保篤巡査部長が、釧路の田舎町に左遷されてしまう。しかも、駐在所勤務に。
本作は、そこで起こった事件の異色警察小説の連作集である。

３．シャドウ　道尾秀介　　点数　１１０

シャドウ
道尾秀介

一昨年、「背の眼」で第５回ホラーサスペンス大賞で、次点にあたる特別賞を受賞し、昨年の活躍著しい道夫秀介の作品。
親交の厚い二家族の母親が相次いでなくなり、二家族の息子と娘は、母親が亡くなってから、幻覚が見えるようになった・・・。
子供の目を通して語られる２つの家族の物語。
母親の死や虐待というきつい経験にさいなまれる子供の心理をいきいきとした筆致で描きながら、それをあっと驚くプロットに収斂させる本格ミステリー。

４．狼花　新宿鮫Ⅸ　大沢在昌　　点数　１０６

狼花新宿鮫IX
大沢在昌

麻薬取り引きのトラブルが原因のナイジェリア人同士の傷害事件がきっかけとなり、鮫島はこれまでにない巨大な盗品マーケットの存在を確信する。
その巨大マーケットを日本最大の暴力団・稜和会が狙っていた。
鮫島は、かつてない圧力を受けながら孤立無援の捜査を進めていく。
「このミステリーが凄い！（このミス）」とも深いかかわりを持つ大沢在昌による５年ぶりの第二期新宿鮫。

５．銃とチョコレート　乙一　　点数　９０

銃とチョコレート
乙一

移民の父と多数派民族の母との間に生まれた混血児・リンツ。
そんなリンツが一番、興味を持っているのが、国中で話題になっている怪盗ゴディバだった。
怪盗ゴディバは、金持ちの家からお宝を盗み出し、名前入りのカードを犯行現場に残していく。怪盗ゴディバを追う名探偵ロイズは、リンツら少年の憧れの的だ。
そしてある日、怪盗ゴディバの手がかりを得たリンツの前に、ロイズが現れる。それが、リンツの大冒険の始まりであった。
少年少女のみならず、大人も楽しめる作品になっているという。

６．名もなき毒　宮部みゆき　　点数　８９

名もなき毒
宮部みゆき

シリーズ第１作「誰か」以来、三年ぶりとなる現代ミステリー。
日本を代表するグループ企業の会長の娘と結婚し、心ならずも逆玉の輿に乗ってしまった杉村三郎が本作の主人公。
そんな杉村三郎が勤めるグループ会報誌の編集部にアシスタントとして雇われた原田いずみは、無能、無責任で逆ギレを繰り返す、とんだトラブルメーカーだった。
契約解除を言い渡された原田いずみは、あることない事をしたため、杉村の義理の父である会長に送りつけた。
会長から、この問題にけりをつけるようにいわれた杉村は、ひょんな事から近頃、世間を騒がせていた毒物無差別殺人の被害者を父に持つある母娘と出会う。

感情をコントロールできずに周囲に悪意という毒を振りまく原田いずみ。飲み物に仕掛けられ、無差別に人を殺していく毒物。そして深刻な社会問題である宅地土壌汚染。
本作は、誰もが偶然、遭遇するかもしれない現代社会に潜む＜毒＞の恐怖を描いた作品である。

７．贄の夜会　香納諒一　　点数　８４

贄の夜会
香納諒一

構想執筆６年のもと誕生した香納諒一の１２年ぶりの新作。
惨殺された２人の女性をきっかけに、猟奇殺人者、殺しのプロフェッショナル、それを追う刑事の追跡と闘いを、真正面から描いたクライムノベル。
３者３様の心の暗闇を照射する。

８．怪盗グリフィン、絶体絶命　法月綸太郎　　点数　７４

怪盗グリフィン、絶体絶命
法月綸太郎

「ふさわしくない人間のもとに置かれた品物を救い出して、しかるべき場所に返す」というモットーを持つ怪盗ジャック・グリフィン。
そんな彼のもとにニューヨークのメトロポリタン美術館にあるゴッホの自画像を盗めという依頼があった。美術館にあるのが偽物で、本物とすり替えてほしいというのだ。
しかし、それはＣＩＡが仕掛けた罠であった。
第２部では、つかまったグリフィンが、ＣＩＡの指令の元、カリブ海に浮かぶ小国の軍の最高司令官パストラミの屋敷にあるというのろいの人形を盗みにいく。
しかし、人形をめぐり物語が二転三転する・・・
「このミステリーが凄い！（このミス）」常連の法月綸太郎のロジックが冴え渡る。

９．赤い指　東野圭吾　　点数　７２

赤い指
東野圭吾

前原昭夫は、ただならぬ様子で掛かってきた妻・八重子からの電話を受け、急ぎ、帰宅する。
帰宅した前原昭夫の家には、少女の死体が・・・。
八重子によると息子・直巳の仕業だという。
警察に届けようという前原昭夫に、息子に甘い八重子が懸命に説得する。
恐る恐る前原昭夫は、少女の死体を近くの公園の便所に捨てに行く。
前原昭夫には、ある非人間的な計画があった。
そんな前原昭夫に、加賀刑事が立ち向かう。

僕のレビュー記事はコチラ　ミステリーが好き・・・ | 直木賞受賞後に、なんでこんな小説、発表したか分からない東野圭吾「赤い指」

１０．夏季限定トロピカルパフェ事件　米澤穂信　　点数　７１

夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤穂信

古本市場を利用される方はコチラ!
夏期限定トロピカルパフェ事件

中古の場合、Ａｍａｚｏｎでは商品ごとに配送料３４０円が掛かりますが、古本市場を利用すると１回のご注文につき全国一律　３９９円(税込) …　今なら、配送料・手数料が２９４円(税込)です。
まとめて購入するとお得です。さらに特別期間中につき、1回のご注文が￥２０００（税込）以上の場合、配送料・手数料無料となっています。

本作は「春期限定イチゴタルト事件」に続く＜小市民＞シリーズの第２弾である。
大のスイーツ好きのゆきは、＜小佐内スイーツセレクション・夏>と名づけた町中のお菓子屋を記した地図を作成し、その全ての店の名物菓子を食べつくす計画を立てる。
その計画に、ゆきに弱みを握られている小鳩が無理やり、参加させられる。
だがある日、ゆきが誘拐されてしまう。
「このミステリーが凄い！（このミス）」は、この奇想天外なプロットの衝突に驚かない読者はいないだろうと評している。

１０．デッドライン　建倉圭介　　点数　７１

デッドライン
建倉圭介

第二次世界大戦中のアメリカ。日系２世のミノル・タガワは、やがて新型爆弾の研究が進んでいることを知る。そして、日本への爆撃がそう遠くないことも。
タガワは当地で知り合った日系ダンサーのエリイと共に、祖国日本へと向かう果てのないたびに出発する。
一方、原爆の機密が漏れたことを察知した政府は、タガワに追跡チームを差し向ける。
タガワは、アラスカからアリューシャン列島を経由する逃避行の過程でアメリカの人種差別と、少数民族迫害の歴史をこれまで以上に追体験するのであった。
「このミステリーが凄い！（このミス）」は、今年最高の冒険小説と評する。

＜総評＞
週刊文春の国内ベスト１０と比較してもらえれば解るとおり、東野圭吾、宮部みゆきらを除き、「このミステリーが凄い！（このミス）」のベスト１０は異なっている。
それだけ、昨年の国内ミステリーは本命不在の混戦であったということか。

なお本書「このミステリーが凄い！（このミス）」には、このミスと深いつながりがある大沢在昌のインタビュー記事や見事、ベスト１に輝いた平山夢明のインタービュー記事、石持浅海のインタービュー記事、国内、海外ミステリーの昨年のベスト２０位までの作品の内容、往年の名物企画であった覆面座談会のメンバーが、今度は本名で登場し、２０周年前夜祭としてこれまでの「このミステリーが凄い！（このミス）」の国内編、海外編のベスト・オブ・ベストを決定している。
また、「私の隠し玉」として人気作家５０人の今年の予定を披露している。
その他、国内外のエンタメ作品を、それぞれの識者がジャンル別にレビューしたコーナーもある。

ミステリーは好きだが、何からよんでいいか分からないと言う方は、本書を手に取り、好きな作品を選んでみてはいかが？

人気ブログランキングに参加しています！
ブログを続ける励みのためにも、下記バーナーをクリックしてもらえるとありがたいです。