すでに、2012 春に 創刊号が発刊されていますが、現在の日本で唯一のホラー小説専門誌が刊行中なので、お知らせ致します。
ナイトランド・創刊の辞
elipsett (2012年1月10日 11:11)
18世紀のゴシック・ロマンにはじまるホラー小説はその後二世紀にわたり深化と進化を展開し続け、21世紀の今日、現代英米文学の重要な分野を形成している。現在、ホラーは恐怖と幻想と怪奇を語ると同時に夢と記憶と時間を語り、さらに神話と夢想と永遠を幻視する。ホラーは今日、最も大衆的な読み物であると同時に、最も前衛的なる文学思潮であるといっても、過言ではない。
オカルト探偵物語や吸血鬼譚、幽霊物語、情痴怨恨絡みの残酷と残虐、クトゥルー神話といった、袖珍本やパルプマガジンより生まれた幻想と怪奇への憧憬は、21世紀に至り、より新しい幻想へ、より現代的な怪奇へと生まれ変わりつつある。
しかし、二十一世紀に入ってからの日本は、こうした英米ホラーの深化と進化をあたかも世界にはスティーヴン・キングとディーン・クーンツ以外、存在しないかのごとく等閑視してきた。
黒田藩プレスは十年近く、幻視の文学というジャンルを通じて日本文学と英米文学との懸け橋の役割を担ってきたが、現在の日本のこの状況を憂い、日本文学と英米文学をホラーで繋ぐ専門誌の必要性を痛感した。
そして、ここに我々は高品質のホラーとダークファンタジーを最高の翻訳で提供しようと決意したのである。
未訳・既訳は問わず、作家が日本で有名か無名かも問わない。我々が問うのはただ一つ、作品そのものである。
高品質のホラーを、ホラーを愛する読書氏へ提供し続けること。そうして海外と日本との断絶を解消し、海外と日本国内で、よりホラーを深化させ進化させる優れた才能を発見し、育て、内外に紹介すること。それこそがナイトランドの使命であり、トライデント・ハウスの理念である。
2012年一月吉日
トライデント・ハウス 代表
エドワード・リプセット
引用元: ナイトランド・創刊の辞 – ナイトランド.
(公式サイト)
トライデント・ハウス.
副題
「幻視者のためのホラー&ダークファンタジー専門誌」
海外のホラーを専門的に紹介する初の媒体。
ナイトランド 5号 (春2013)
朝松 健 ローレル・ハルバニイ ブライアン・M・サモンズ グリン・バーラス エリザベス・ベ サラ・モネット アンジェラ・スラッタ ロバート・ブロック 石神 茉莉 小松 左京 山野辺 若
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福岡の「黒田藩プレス」という出版社
日本文学、とりわけミステリやSF、ホラーの英訳書を刊行。
● 特に注目すべきはオリジナル・アンソロジー
小松左京や筒井康隆から小川一水、円城塔までを既刊に収録し、現在も進行中のSF短編傑作集『SPECULATI VE JAPAN』は、英米で高く評価されている。
東雅夫氏の編による怪奇小説傑作選『KAIKI』も注目を集め、ことに第二巻所収の平井呈一「真夜中の檻」は、2011年、アメリカの「SF&ファンタジー英訳作品賞」にノミネート。
このような出版ができるのは、社長のエドワード・リプセットさんが、これらジャンル小説の、国籍や言語を超えた理解者であるためである。
そのエドワード・リプセットさんが、『KAIKI』の編集作業中に、「日本でホラー雑誌を創刊しよう」とひらめいた。
ホラー小説翻訳は一時盛んだったものの、スティーヴン・キングを別にすると、たまにしか出なくなった。
映画化されていてさえ、邦訳のチャンスを得られずに埋もれていく。
もっとも、英米でもホラーは出版しにくいようだ。
今の若手や中堅のホラー作家達は、電子書籍やウェブジン、セミプロジン、あるいは小出版社に作品発表の場を求めている。
そんな中でのこののホラー小説専門誌「ナイトランド」の創刊だ。
最新号のナイトランド 5号 (春2013)は既に品切れで、「ナイトランド 雑誌」で検索してみると、多くのブログがヒットする。
このホラー小説専門誌「ナイトランド」の創刊は、成功したと言えよう。