森鴎外『高瀬舟』における三つのテーマ その二 尊厳死と云うテーマ

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「高瀬舟」を読んだ方々に共通して浮かぶ、この「高瀬舟」のテーマに尊厳死というものがあります。

「高瀬舟縁起」で、森鴎外はこう書いている。

此話は翁草(おきなぐさ)に出ている。
私はこれを読んで、其中に二つの大きい問題が含まれていると思った。

一つは、森鴎外『高瀬舟』における三つのテーマ その一 財産と云うテーマ | KI-Literature(文学).で触れた財産というものの観念です。
今ひとつが、尊厳死というテーマです。
このことを森鴎外は「高瀬舟縁起」でこう書いている。

今一つは死に掛かっていて死なれずに苦しんでいる人を、死なせて遣ると云う事である。
ここに病人があって死に瀕して苦しんでいる。
それを救う手段は全くない。
従来の道徳は苦しませて置けと命じている。
しかし、医学社会には、これを非とする論がある。
即ち死に瀕して苦しむものがあったら、楽に死なせて、其苦を救って遣るが好いと云うのである。
安楽死(ユウタナジイ)

高瀬舟02

おそらく僕は、この森鴎外の「高瀬舟」を読むのは二度目だと思いますが、この「高瀬舟縁起」を読むのは初めてでした。
現代にクローズアップされた感のある「尊厳死」という問題が既に明治時代の医学において取り上げられていたというのは、僕にとって軽いショックを伴う驚きでした。

また、改めてこの文章を書きながら、翁草というのは江戸時代の随筆らしいですが、昔からこういう問題を人々は、人情としてもどう扱っていいか悩み、問題としていたのだなぁと妙に納得したりしました。

翁草 とは – コトバンク.

森鴎外全集〈5〉山椒大夫 高瀬舟 (ちくま文庫)






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