高村薫 著 『太陽を曳く馬』 (上) 読了、感想など 下巻で展開される「宗教とは」をめぐる対話を期待して

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本作『太陽を曳く馬』は、『晴子情歌
』、『新リア王
』に続く三部作の第三作目です。
『晴子情歌』、『新リア王』はいずれも読んでいないのですが、『太陽を曳く馬』には『レディ・ジョーカー
』や『マークスの山
』の主要人物である合田雄一郎刑事が登場し、高村薫女史がオウム真理教を受けての宗教的対決のようなことを描いているということとあって、9・11テロよりもオウム真理教の一連の事件にショックを受けて、未だにどのように整理していいかわからず、そのことを引きずっている僕は、とにもかくにも『太陽を曳く馬』を手に取った。

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<ストーリー>
合田雄一郎がミレニアムを挟んで挑む二つの事件。立ち塞がるのは21世紀の思考回路! 『晴子情歌』に始まる三部作完結篇、現代の東京に降臨!

惨劇の部屋は殺人者の絵筆で赤く塗り潰されていた。赤に執着する魂に追縋る一方で、合田は死刑囚の父が主宰する禅寺の施錠をめぐって、僧侶たちと不可思議な問答に明け暮れていた。検事や弁護士の描く絵を拒むように、思弁の只中でもがく合田の絵とは?

<感想>
『太陽を曳く馬』(上)の物語の構成
本書『太陽を曳く馬』は、通常の警察小説のように、犯人を追う刑事、対するその捜査網から逃れようとする犯人という描写は、全くといっていいほどありません。
なぜなら、一つの事件である殺人事件の犯人・福澤秋道はすでに捕まって死刑が確定されており、もう一つの事件である死刑囚(これは、前期の殺人事件で死刑が確定した加害者の)の父・福澤彰之が主宰する禅寺・永劫寺の施錠を問われる事件の当該者である僧侶たちは、逃げも隠れもしていないから。

禅寺の施錠を問われる事件というのは、禅寺と契約を交わして入信した末永和哉という修行僧(てんかん持ちである)が、周囲の注意を振り払って、禅寺・永劫寺から飛び出し、交通事故死した事件をその末永和哉の両親が永劫寺の管理不行届きだと刑事告訴した事件のことを指す。

本書『太陽を曳く馬』の物語は、まず刑事告訴された交通事故のその告訴状が冒頭を飾ります。
そして、合田雄一郎刑事が告訴された当該の禅寺・永劫寺の主宰者である福澤彰之に会い、福澤彰之の名目上の息子・福澤秋道が、98年に起こした同棲中の女性とその嬰児を含む三人のを殺害した凄惨な事件の公判記録を読むところから、ゆっくりと物語は進む。

よってこの『太陽を曳く馬』は、
・福澤秋道が起こした殺人事件の公判記録
・獄中にいるその福澤秋道へ宛てた名目上の父・福澤彰之の殺人事件のアパートに福澤秋道が描いていた抽象絵画のようなものをめぐる非常に観念的な手紙
・実際に合田雄一郎刑事が傍聴した福澤秋道の殺人事件の公判の様子
で構成されており、そして「第三章 桜坂へ」へと物語が進行すると、やっと禅寺・永劫寺のサンガにに勤める修行僧らへの聴取が始まる。
この聴取での修行僧らの受答えも、禅僧らしくとても観念的、哲学的で難しいです。

高村薫女史が書く文章は硬質でありますが、この『太陽を曳く馬』はフランス現代思想もちりばめられ、内容も観念的で難しく読む人を選ぶでしょう。

『太陽を曳く馬』の題名を意味するもは
題名の「太陽を曳く馬」とは、バイキングの太古の祖先がスカンジナビアの海岸に刻んだ岩絵の、有名な図形の一つで、四つ足のような蛇のような図形。
この図形のカラーコピー1枚が、福澤秋道が同居人の女性らを殺害したアパートの部屋に埋もれていた。

この『太陽を曳く馬』上巻は、NHKの「週刊ブックレビュー」で高村薫女史が語ったことを参考にすると「音が邪魔だから」絵筆が進まなくなり、、カッとなって音がする“頭”を金鎚で殴ったという動機不明で意志薄弱の福澤秋道の事件とその福澤秋道が描いていた一般人には理解不能な絵を、なんとかして言語化し、我々、一般人にも理解可能な形として提出しようとする試みである。

公判で弁護士や検事らの証人尋問で執拗に福澤秋道に、絵の事を尋ねるくだりは、抽象絵画の内容を理解できない、意味を解きほぐすことができない僕は、モダンジャズからフリージャズに移行した時期のマイルス・デイヴィスの電子音楽のことを思いこさせた。
また、主人公の一人である合田雄一郎刑事を“おまえ”と呼ぶ語り手は一体どこにいるのだろうかと気になった。

僕は下巻で繰り広げられるという、書評で池澤夏樹氏
に“深い”と言わしめた「宗教とは?」とのような根源的な対話を期待しつつ上巻のページを閉じた。

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